映画『わたしの血、瑠璃色に輝く(仮)』制作発表「よ~しの日」渋谷109前イベントにFCPPも出演しました!

2018年4月7日、日本財団が主催する「家族ダイバーシティ」〜よーしの日キャンペーン〜に参加し、小澤雅人監督の新作映画制作発表が行われました。ステージでは、小澤監督とFoster Care Promotion Project(以下FCPP)から宮内さん、特別養子縁組で子育てをなさっている鈴木さんの2人が発信しました。

「養子を迎えました」と安心して発信できるように

小澤 いま、特別養子縁組をテーマにした映画の制作を進めています。不妊治療を諦めた夫婦、養子と知らされないまま大人になった女性、予期せぬ妊娠に悩む高校生、という3人の登場人物によってストーリーが交錯していく群像劇です。前作の性暴力をテーマにした『月光』と同じく、繊細な題材ですので、特別養子縁組や社会的養護の当事者、専門家に取材を重ねました。

登壇した小澤監督(左)、宮内さん(中央)、鈴木さん(右)

宮内 私は乳児院の職員として里親支援をしています。そして、家庭養護のことを世に広く知っていただくためのプロジェクトチーム・FCPPの副代表でもあります。FCPPでは、生みの親が育てられない子どもたちが家庭的な環境で慈しみを持って育てられる社会を目指して活動しています。今日は、小澤監督の新作映画を応援するためにうかがいました。

鈴木 私はFCPPに養子縁組当事者として関わっています。当事者の方が「うちは養子縁組の家庭なんですよ」ということを安心して発信できるような社会になって欲しいと思ってチームに参加しています。

家族になった日、「家族記念日」が真実告知

小澤 取材の中で、「真実告知」の大切さを知りました。ある女性は17歳のときに偶然母子手帳を見て知り、ショックを受けたそうです。今では育ての親にとても感謝されていますが、鈴木さんは「真実告知」についてどうお考えですか?

鈴木 子どもが2歳7か月のときに我が家に迎えて家族になりましたが、その1年後、家族になった日を「家族記念日」として、真実告知をしました。それから毎年、家族記念日のお祝いを続けています。子どもは自分が養子であることを認識し、周りの沢山の大人にも見守られて育っています。

宮内 私は日々、里親さんや養親(特別養子縁組による育ての親)への支援をする者として、「できるだけ小さいうちから、真実を伝えてあげくださいね」という話をしています。子どもたちには真実を知る権利がありますし、小さいときから知る方が受け入れやすいと感じます。

鈴木 子どもには「あなたにはお母さんが3人いるよ、一人は生んでくれたお母さん、もう一人は2歳7カ月まで乳児院で大切に育ててくれた保育士のお母さん、そして私が3人目。「3人もいるよ、すごいね」と。その事実は、本人にとっての人生の歴史ですから、ポジティブに捉えることができるように伝えています。

知ることから始める「みんなが暮らしやすい社会」

小澤 勉強や取材を進めていて痛感したのは、養子縁組家庭に対する一般社会の無理解です。養子縁組家庭がどのようなものなのかわからないから、「血のつながりがなくて、育てられるの?」という偏見も生じます。まずは知っていただくことだと思いますので、映画という分かりやすい媒体でお伝えできれば。

鈴木 今日のイベントに養子を迎えたいとお考えの方もいらっしゃるでしょうか。もし「血縁関係のない子どもを愛せるのかな」と躊躇なさっているなら、「大丈夫です!」とお声をかけたいです。子ども一緒に過ごし始めれば、自分が産んだのかそうでないのか、そんなことが関係なくなっていきます。「家族ダイバーシティ」というテーマが示すように、いろいろな家族の形があっていいと思います。

宮内 特別養子制度や里親制度を知っていただくことで、いろいろな家族がいて当たり前の世の中になり、堂々と「うちは養子なんですよ」とオープンにできるようになってほしいです。養親や里親になってくださる方をサポートして、みんなが安心して暮らせる社会にしていけたらいいなと思っています。

小澤 「特別」とついていますが、どのご家族も普通なんですよね。その姿を、映画を通して伝えていければと思っています。映画が完成したら、ぜひ多くの方にご覧になっていただければと思います。