社会的養護とは

社会的養護とは?

親がいない、親が育てることができない、虐待を受けたりなどのさまざまな理由で、生みの親と一緒に暮らせない子どもを、社会が養育するしくみのことです。公的責任による子どもの養育・保護、養育に大きな困難を抱える家庭への支援も行われます。「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われています。

日本の社会的養護はどうなっている?

日本で社会的養護を必要としている子どもたちの数は、約45,000人いると言われています。(2017年3時点)受け入れ先は児童養護施設や乳児院などの施設が76.4%、グループホームが7.9%、里親やファミリーホームへの委託が15.8%。特別養子縁組の成立は、544件です。(2015年時点)

今後の社会的養護の方向性は?

2016年6月に改正児童福祉法が公布され、生みの親が養育できない子どもは、養子縁組や里親・ファミリーホームなど家庭と同様の養育環境で、継続的に養育されることが原則となりました。また、これまで養子縁組は児童相談所の業務として明確に位置づけられていませんでしたが、法律の改正により児童相談所が取り組むことになりました。

家庭養護とは?

家庭養護とは?

社会的養護は、家庭養護と施設養護に分けられます。

家庭養護

里親、ファミリーホーム(小規模住居型児童養育事業)、特別養子縁組

施設養護

乳児院、児童養護施設、小規模グループケア、グループホームなど。

施設養護における小規模グループケアやグループホームなどを「家庭的養護」と呼ぶことがありますが、上記の家庭養護とは区別されます。

家庭養護の種類について

里親制度

さまざまな事情により家庭での養育が困難になったり受けられなくなったりした子どもたちを、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境で養育する制度です。基本的には18歳まで、実親側の戸籍に入ったままで、戸籍上の親子関係は発生しませんが、里親家庭で一定期間養育されます。

特別養子縁組

子どもの福祉の増進を図るために、養子となる子どもの実親(生みの親)との法的な親子関係を解消し、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です。

ファミリーホーム

家庭環境を失った子どもを里親や児童養護施設職員など経験豊かな養育者がその家庭に迎え入れて養育する「家庭養護」です。平成20年の児童福祉法改正により「小規模住居型児童養育事業」として全国的に実施されました。

特別養子縁組とは?

特別養子縁組とは?

子どもの福祉のために、特に必要があるとき、子どもとその実親側(生みの親)との法律上の親族関係を終了させて、実親子関係に準じる安定した養親子関係を家庭裁判所が成立させる縁組制度です。2019年度、民法等の一部を改正する法律(令和元年法律第34号)が成立し、子の対象年齢が原則6歳未満から原則15歳未満へと引き上げれられるなどの改正がなされました。

「特別養子縁組」と「普通養子縁組」

養子縁組には、普通養子縁組(一般養子縁組)と特別養子縁組の2つがあります。

普通養子縁組は養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組です。

特別養子縁組は養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組です。

特別養子縁組は「子の福祉が目的」

特別養子縁組は、子どもの福祉のためにあるものなので、「家を継いでくれる子がほしい」「病気や障がいのない子を望む」また、「子どもさえいれば夫婦関係がうまくいくはず」など、育ての親になりたい方の希望によって進めるものではありません。

里親制度とは?

里親制度とは?

里親制度は、さまざまな事情により家庭での養育が困難になったり受けられなくなったりした子どもたちを、温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境で養育する制度です。基本的には18歳まで、実親側の戸籍に入ったままで、戸籍上の親子関係は発生しませんが、里親家庭で一定期間養育されます。

里親制度の種類

養育里親

保護者がいない子どもや保護者の病気・経済的に困難で子どもと育てることが困難・不適切と判断された児童を迎え入れる里親のことです。保護者が子どもを育てることが可能になる時まで、場合によっては子どもが社会人になるまで生活を共にし、養育することもあります。

養子里親

養子縁組を望んでおり、後々は養子に迎え入れることを前提として養育する里親のことです。

専門里親

今までに虐待を受けて、心に大きな傷を負った子ども、非行などの問題を持つ子ども・身体障害・精神障害・知的障害がある子どもを受け入れる里親のことです。

親族里親

里親になる人と里子になる子どもが三親等以内の親族で、子どもの両親や保護者が死亡・行方不明などにより子どもを養育できない場合に、その子どもを受け入れる里親です。

季節・週末里親

週末や夏休み・お正月などの長期の休みに、保護者がいない子どもを家庭に迎え入れる里親です。自治体により、「三日里親」や「フレンドホーム」など、名称も運用も異なります。